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お弁当箱の余生

1.まずは講師と一緒に文を読んで発音の練習していてください。読んだ後は講師から発音のアドバイスをもらいましょう。 お弁当箱の余生  東京・上野で開催中の「BENTO おべんとう展」を楽しく見た(来月8日まで)。公家や武家用の弁当箱は趣向が凝らされ豪勢である。エチオピア製はUFOのよう、タイの弁当箱は釣り魚籠(びく)を思わせる ▼目がとまったのは、子どものころ教室でよく見たアルマイト製。梅干しの酸が原因で穴が開いている。出展した神奈川県松田町の瀬戸のぼる(のぼる)さん(74)によると、骨董(こっとう)市で探すのに2年を要したという。「穴が開けば捨てられるのが宿命。弁当箱にはふつう余生がありません」 ▼駅弁大手に長く勤めた瀬戸さんは、新商品の開発に四苦八苦する中、弁当箱の変遷に興味を抱く。40代で収集を始めた。「漆塗りの大名用など何百万円もする。値の張らない逸品に狙いを絞りました」。これまでに収集した約300点は庶民の弁当史そのもの。今回は19点を公開している▼ほかの展示コーナーも興趣が尽きない。江戸の人々は船や楼閣を模したり、ふたで囲碁を打ったり。〈よに逢坂の 関は許さじ〉。清少納言の歌をあしらった物もある。遊び心がはじける ふいに思い出したのは、筆者が米国駐在中、現地の小中学校でしばしば見た弁当の簡素さ。中身はサンドイッチと果物くらい。隙間なく詰めこまれた日本の弁当との密度の差に驚いた ▼こと弁当となると、中身も器にも凝りたくなるのが、私たちの一つの文化なのだろう。手間ひまかけて、思いをおかずに託して。大名、豪商から現代人まで古今の弁当箱に詰められた情を思った。 2.講師に次の表現について説明してもらいましょう。 骨董 詰められ あしらった 3.先学んだ文法と単語を用いて、文を作りましょう。 4.講師から発音のアドバイスを注意しながら、もう一回文を読みましょう。 5.講師と使い捨て物について話し合いましょう。

台風の一生 

1.まずは講師と一緒に文を読んで発音の練習していてください。読んだ後は講師から発音のアドバイスをもらいましょう。  強力な台風24号が北上している。被害が出ないよう祈るばかりである。台風と聞くと、上陸して猛威をふるう姿ばかり思い浮かぶが、専門家によると列島を悩ませる台風はすでに老境に入ったものだという▼横浜国立大学の筆保弘徳(ふでやすひろのり)准教授(42)は「生まれと育ちをみれば、老年の姿がおおむね描ける」と話す。台風のタマゴが生まれる太平洋は、東方からの貿易風と西方からの季節風が吹いている。日本にとって最もこわいのは東西の気流がぶつかる場所で生まれたタマゴだ。力強く成長し、列島を直撃する確率も高い ▼その後の勢力を左右するもう一つの大きな要素は、育ち方だ。フィリピンの東方に専門家たちが「魔の海域」と呼ぶ暖かい海がある。幼い頃にここを通ると急速に力をつける▼日本で5千人超の犠牲がでた伊勢湾台風(1959年)は気流のぶつかる場所で生まれ、魔の海域で強力になった。今月上旬の21号も同じ海域を通り、近畿地方などに大きな被害をもたらした。成育歴をより深く分析できるようになれば、コースや規模をさらに早く予測できるそうだ ▼とはいえ、ユニークな生まれ方もあるし、予想外にふるまうこともある。「いまだに謎が多いことが研究者には魅力的です」と筆保さんはいう。波瀾(はらん)万丈、行く末が見通せないのは人間と同じかもしれない▼今年は台風がいつになく多い。少なくとも10月末までは警戒が必要だろう。さらに解明が進むことを期待しつつ、まずはきょうの備えを万全にしたい。 2.講師に次の表現について説明してもらいましょう。 確率 万全 直撃 3.先学んだ文法と単語を用いて、文を作りましょう。   4.講師から発音のアドバイスを注意しながら、もう一回文を読みましょう。   5.講師と台風について話し合いましょう。

消えるガソリンスタンド 

1.まずは講師と一緒に文を読んで発音の練習していてください。読んだ後は講師から発音のアドバイスをもらいましょう。  給油先探しにまごつくことが増えた。当てにしていたスタンドへ行ってみると閉店の貼り紙が。高速道路で「次の給油所は150キロ先です」という掲示を見て慌てたこともある▼石油流通に詳しい東洋大の小嶌正稔(こじままさとし)教授(59)によると、国内のガソリンスタンドはこの四半世紀で実に半減した。最盛期の1994年には6万軒を超えていたのが、いまや3万軒に。廃業は年に1千軒のペースに達したというから驚く ▼「マイカー離れでガソリン需要が落ち込んだ。老朽化した地下タンクの改修が義務づけられて、経営を断念する人が増えました」。今後、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)が普及すれば、従来通りのガソリン頼みの商法では立ちゆかなくなると指摘する▼かつてスタンドは各国の若者があこがれる最先端の職業だった、と教授は言う。1964年公開の仏映画「シェルブールの雨傘」でも、別れの哀(かな)しみが港町の給油所を舞台に描かれる。「日本で給油所が急増したのも同じ60年代でした」 ▼震災のたび、スタンドには長蛇の列ができる。飲料や食料と同じように燃料を確保できないとだれしも不安になる。「4時間も行列して給油した」「いまでも燃料計が半分を指すと怖くなる」。緊急時はもちろん、平常時の暮らしも給油所に支えられている▼離島や山間部では近年、給油拠点をどう維持するか試行錯誤が続く。「津々浦々にあって当たり前」という長年のガソリンスタンド観が揺さぶられる時代である。 2.講師に次の表現について説明してもらいましょう。 維持 だれしも かつて 3.先学んだ文法と単語を用いて、文を作りましょう。   4.講師から発音のアドバイスを注意しながら、もう一回文を読みましょう。   5.講師と社会発展とともに消えてゆく物について話し合いましょう。

秘密の減点

1.まずは講師と一緒に文を読んで発音の練習していてください。読んだ後は講師から発音のアドバイスをもらいましょう。  近代医学の学校を卒業した最初の女性。そう称されるのが、エリザベス・ブラックウェルである。19世紀に英国から米国に渡り、医学校に入学を願うが、ことごとく断られた。ある博士からは「私どものクラスの紳士たちは、異性が中に入ることを好まないからね」と言われた▼外国に行き、男性に変装して医学を学んだらどうかと言う博士すらいた。ようやく入学が認められた学校でも、歓迎されてはいなかったとベイカー著『世界最初の女性医師』にある ▼女性は医師に向かないと言われた時代があった。残念ながら、あったと過去形にしない大学が日本に存在するようだ。東京医科大の入試で、女子受験者の点数が一律に減点されていた▼女子の合格者を3割以下に抑えるため秘密裏に操作がなされた。「出産や子育てで現場を離れるケースが多く、医師不足を防ぐためだった」という大学関係者の声が本紙にある。働きにくい構造には手をつけず、女性を遠ざける。そんな行動は、この大学だけなのか ▼「ガラスの天井」といえば、女性の昇進を阻む、見えない障壁のことだ。東京医科大では、見えないゲタを男子全員にはかせていた。スタートラインにあってはならない「ガラスのゲタ」。そういえばこの大学には、官僚の息子のための特別のゲタもあったらしい▼医師となったブラックウェルは、貧しい地区に女性と子どものための診療所を開いた。門前払いのままで終わっていたなら、成し遂げられなかった功績であろう。 2.講師に次の表現について説明してもらいましょう。 成し遂げ すら 3.先学んだ文法と単語を用いて、文を作りましょう。   4.講師から発音のアドバイスを注意しながら、もう一回文を読みましょう。   5.講師とガラスの天井について話し合いましょう。

(日本語) 田植え

1.まずは講師と一緒に文を読んで発音の練習していてください。読んだ後は講師から発音のアドバイスをもらいましょう。  棚田保存の活動に参加して、連休の一日、遠くに海を眺める房総半島の山あいで田植えをした。地元農家のお膳立(ぜんだ)てで、段をなす田の一枚一枚に、鏡のような水が張られている。 〈田一枚植えて立去る柳かな〉。名高い芭蕉の句からは、慣れた身ごなしで、すいすい苗を植える姿が浮かぶ。だが日ごろ農作業と縁遠い弱卒は、そうはいかない。腰が定まらず右往左往し、田の中は足跡だらけに。植え付けにも難渋し、進まないことおびただしい。 古く、田植えは女性の仕事とされ、従事する人を早乙女と呼んだ。力のいる田打ちや代掻(しろか)きが男の仕事だった。〈生きかはり死にかはりして 打つ田かな 鬼城〉。土に生かされ、土を頼みに命をつなぐ。往時の労働の厳しさを思うと、粛然とさせられる。 〈粒粒皆辛苦(りふりふかいしんく)すなはち一つぶの一つぶの米のなかのかなしさ〉と詠んだのは山形県出身の斎藤茂吉である。戦前は、小作制度や飢饉(ききん)が農家を痛めつけた。収穫しても自分たちの食べる分はない。白い米粒が農民の「辛苦とかなしさ」を象徴した時代は長く続いた。 戦時中は妙な米の炊き方があった。一昼夜水に漬け、膨張しきったところで火にかける。食糧不足を補うために政府が広めた。名付けて「国策炊き」。量は増えても、しょせん水膨れだから、腹はすぐに減ったそうだ。 さまざまな時を経て、幸か不幸か、素人の米作りが歓迎される時代である。労働の厳しさにも、一粒のかなしさにもほど遠いけれど、参加者の数だけ、米に関心を持つ人は増えたことだろう。 2.講師に次の表現について説明してもらいましょう。 痛めつけ 補う 難渋 おびただしい 3.先学んだ文法と単語を用いて、文を作りましょう。   4.講師から発音のアドバイスを注意しながら、もう一回文を読みましょう。   5.講師と現代の農業について話し合いましょう。

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