「申」という字の来歴

1.まずは講師と一緒に文を読んで発音の練習していてください。読んだ後は講師から発音のアドバイスをもらいましょう。

猿芝居、猿知恵、猿まね。どうも猿はかんばしくない言い回しに登場することが多い。猿の尻笑いは、自分の欠点に気づかずに他人の欠点をあざ笑うことをいう。類縁関係の故なのか、扱い方が冷淡すぎないかと思ってしまう

▼もっとも、災いが去る、病が去るというように、同じ音の言葉をかけて縁起のいい文脈で使われもする。赤い下着の売れ行きがいいという話が、この年末年始の紙面にあった。申(さる)年に身につけると健康で過ごせる、といった言い伝えが各地にあるという

▼猿を神様の使いとして、古来大切にしてきた神社もある。東京・赤坂の日枝(ひえ)神社はその一つだ。境内に神猿(しんえん)の像がある。「まさる」と呼ばれる。魔が去る、何事にも勝る、となって信心を集める。猿(えん)は縁に通じ、縁結びの御利益もあるといわれる

▼むろん、申という字に猿の意味はない。漢和辞典編集者の円満字(えんまんじ)二郎さんによれば、もともとは鋭く光る稲妻を描いた甲骨文字だったという。ピカッと光り、地上に向かって伸びることから、相手に何かを伝える意味で使われるようになった。申すであり、申請、申告、内申書である

▼漢字研究の故白川静(しずか)さんによれば、申は当初、神そのものを意味した。稲妻が屈折しながら天空を走るのを、太古の人々は神のあらわれる姿と考えたらしい。日ごろ何も考えずに書いている字が、にわかに神々しく見えてくる

▼申の字の来歴と、猿を神様の使いと見ることとは関係がない。しかし、これもご縁と思いたくなる。

2.講師に次の表現について説明してもらいましょう。

鋭く光る

勝る

屈折

にわか

3.先学んだ文法と単語を用いて、文を作りましょう。

 

4.講師から発音のアドバイスを注意しながら、もう一回文を読みましょう。

 

5.講師と面白い漢字の由来について話し合いましょう。

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