1.まずは講師と一緒に文を読んで発音の練習していてください。読んだ後は講師から発音のアドバイスをもらいましょう。
三日月はその形から「月」の字を生んだ。出番が日暮れ時なので「夕」にもなった。象形文字の面白さだ。かたやフランス語では、満月に膨らむ途中だから「成長」と同系の名詞となり、同じ形のパンの名にもなった。
フランス在勤中の昨秋、週刊フィガロスコープが「パリで一番うまいクロワッサン」を発表した。目隠しテストで64店を食べ比べた結果、日本にも店があるピエール・エルメが1位に輝いた。
同誌によれば、良いクロワッサンは「かじると表層が崩れ落ち、ちぎれば静かに抵抗する」そうだ。パリ6区のエルメ本店で買ってみたら、三日月というよりひし形だった。かぶりつくと、解説の通り皮がサリサリと落ち、中身はしっとりと粘った。パリ一番の月は、食卓をクズだらけにして消えた。
菓子職人として知られるエルメ氏は、焼き上がりに「手で引き裂いて、かすかな鳴き声を聴く」という。そこまで繊細な一品ではなかったが、仏西部の家庭に居候していた当時、週末の食卓には決まってこのパンが現れた。ゆったりした遅めの朝食に、バターの濃厚な香味が花を添えた。
クロワッサンはオーストリアの発祥という。1683年、オスマントルコ帝国軍の包囲を耐え抜いたウィーン市民が、敵のシンボルの三日月をパンにしたのが始まり。形は優美でも「戦いの食べ物」なのだ。
明日はフランス大統領選の決選投票である。右か左か、男か女か。審判までに残された朝食は2回。大接戦を伝えられる両候補は、いくつ三日月をほお張ることだろう。
2.講師に次の表現について説明してもらいましょう。
膨らむ
候補
だらけ
3.先学んだ文法と単語を用いて、文を作りましょう。
4.講師から発音のアドバイスを注意しながら、もう一回文を読みましょう。
5.講師と思いさせる食物について話し合いましょう。