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ふるさとへの思い

1.まずは講師と一緒に文を読んで発音の練習していてください。読んだ後は講師から発音のアドバイスをもらいましょう。 朝日歌壇賞と俳壇賞の二冠を持つオランダ在住の歌人、モーレンカンプふゆこさんの短歌に、〈窓口で法律用語を調べつつ日本国籍破棄を告げけり〉がある。33歳で異国に帰化した際の、凜(りん)とした決意だ。 作者はしかし、森で拾った木の実にまで望郷の念を募らせもする。〈手の中に団栗(どんぐり)といふ故国あり〉。ふゆこさんが思い続ける日本は、いつまでも、海外の同胞が慕う国でいられるだろうか。 パリ駐在から帰国し、3年ぶりに住んだこの国は改めて新鮮だった。朝のホームに整然と並ぶ人たち、静かな満員電車。小ぎれいで安全な街、眠らぬコンビニと自販機。このささやかな日常の安定こそ、守り伝えるべきものに見える。 国籍を捨てて、なお残る祖国とは何だろう。山河や文化、同じ言葉を話す懐かしい人々。その一切がつつがなくあるために、国家の仕組みと約束事がある。軍事同盟が「傘」なら、平和憲法は「繭」のように、日本社会に寄り添って平安を包んできたのではないか。 窮屈な繭を抜け出し、傘の下で舞うチョウになりたいと欲する人もいる。だが、世界の現実に合わせて理想を遠慮すれば、情けない現実が大きくなるだけだ。 朝日俳壇の選者だった石田波郷(はきょう)に、「焦土諷詠(ふうえい)」と称される作品群がある。〈香水の香(か)を焼跡(やけあと)にのこしけり〉。廃虚から書き起こした香り高い志は、四季の美しさや産業技術と並ぶ財産だ。世界がこの水準に追いつくまで、あるべき姿を輝く繭から発信する。 ここで悠然と待つのが人類愛にかなうと思うが、どうだろう。 2.講師に次の表現について説明してもらいましょう。 遠慮 あるべき 決意 3.先学んだ文法と単語を用いて、文を作りましょう。   4.講師から発音のアドバイスを注意しながら、もう一回文を読みましょう。   5.講師とふるさとへの思いについて話し合いましょう。

(日本語) 田植え

1.まずは講師と一緒に文を読んで発音の練習していてください。読んだ後は講師から発音のアドバイスをもらいましょう。  棚田保存の活動に参加して、連休の一日、遠くに海を眺める房総半島の山あいで田植えをした。地元農家のお膳立(ぜんだ)てで、段をなす田の一枚一枚に、鏡のような水が張られている。 〈田一枚植えて立去る柳かな〉。名高い芭蕉の句からは、慣れた身ごなしで、すいすい苗を植える姿が浮かぶ。だが日ごろ農作業と縁遠い弱卒は、そうはいかない。腰が定まらず右往左往し、田の中は足跡だらけに。植え付けにも難渋し、進まないことおびただしい。 古く、田植えは女性の仕事とされ、従事する人を早乙女と呼んだ。力のいる田打ちや代掻(しろか)きが男の仕事だった。〈生きかはり死にかはりして 打つ田かな 鬼城〉。土に生かされ、土を頼みに命をつなぐ。往時の労働の厳しさを思うと、粛然とさせられる。 〈粒粒皆辛苦(りふりふかいしんく)すなはち一つぶの一つぶの米のなかのかなしさ〉と詠んだのは山形県出身の斎藤茂吉である。戦前は、小作制度や飢饉(ききん)が農家を痛めつけた。収穫しても自分たちの食べる分はない。白い米粒が農民の「辛苦とかなしさ」を象徴した時代は長く続いた。 戦時中は妙な米の炊き方があった。一昼夜水に漬け、膨張しきったところで火にかける。食糧不足を補うために政府が広めた。名付けて「国策炊き」。量は増えても、しょせん水膨れだから、腹はすぐに減ったそうだ。 さまざまな時を経て、幸か不幸か、素人の米作りが歓迎される時代である。労働の厳しさにも、一粒のかなしさにもほど遠いけれど、参加者の数だけ、米に関心を持つ人は増えたことだろう。 2.講師に次の表現について説明してもらいましょう。 痛めつけ 補う 難渋 おびただしい 3.先学んだ文法と単語を用いて、文を作りましょう。   4.講師から発音のアドバイスを注意しながら、もう一回文を読みましょう。   5.講師と現代の農業について話し合いましょう。

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